名探偵コナン第52話のネタバレ!霧天狗伝説殺人事件
こちらでは、名探偵コナンの以下の事柄について迫りたいと思います。
・事件ファイル概要
・登場人物
・あらすじ
・謎解き
・ネタバレ
・エピローグ
名探偵コナン第52話|事件ファイル概要
-
■ 話数:
第52話
■ 事件ファイル名:
霧天狗伝説殺人事件
■ 放送日:
1997年3月17日
■ 放送曜日:
月曜日
■ 主題歌:
OPテーマ Feel Your Heart(VELVET GARDEN)
EDテーマ 光りと影のロマン(宇徳敬子)
■ BACK:
⇒ 第51話「ゴルフ練習場殺人事件」
■ NEXT:
⇒ 第53話「謎の凶器殺人事件」
名探偵コナン第52話|登場人物
・江戸川 コナン
CV:高山みなみ
実際は高校生探偵工藤新一。ひょんなことから薬を飲まされ、小学生の姿になった主人公。事件解決のため頭脳を生かし推理を巡らせ、次々と難事件を解決へ導く。
・毛利 小五郎
CV:神谷明
毛利探偵事務所の主人。元刑事で蘭の父親。推理は的外れだがコナンの名推理のおかげで、“眠りの小五郎”として有名。
・毛利 蘭
CV:山崎和佳奈
毛利小五郎の娘。高2年生、新一の幼馴染で空手部の女主将。
・阿笠 博士
CV:緒方賢一
新一の隣の家に住む発明家。コナンの正体を知っている。
・目暮 十三
CV:茶風林
警視庁捜査一課強行犯三係の警部。恰幅のいい体つきでダンディーなヒゲが特徴。鋭い洞察力を持つ。帽子の下には秘密がある・・。
・天永和尚(てんえいおしょう)
CV:八奈見乗児
71歳。山泥寺住職。
・寛念(かんねん)
CV:植村喜八郎
21歳。修行僧。
・屯念(とんねん)
CV:巻島直樹
19歳。修行僧。
・木念(もくねん)
CV:咲野俊介
19歳。修行僧。
・秀念(しゅうねん)
CV:川鍋雅樹
18歳。修行僧。
・忠念(ちゅうねん)
2年前まで山泥寺にいた修行僧。
・菊乃(きくの)
CV:岩居由希子
21歳。天永和尚の孫娘。
・警官
CV:千葉一伸、高木渉
名探偵コナン第52話|あらすじ
山桜の観賞を楽しんだコナン、小五郎、蘭は、小五郎が借りたレンタカーで帰りの山道を走っていた。
しかし、道に迷った挙句、車のタイヤがパンクしてしまった。
さらに、雨までもが降ってくるという始末。
麓までは2、30キロあり、小五郎は車の中で一夜明かすことを提案する。
蘭「えぇ~!こんなところで野宿なんて嫌よ。パンクなんとか直んないの?」
小五郎「もうスペアタイヤはないんだよ。今時2回もパンクするなんて、ついてねェよな・・」
その時、近辺を散策していたコナンが戻ってきた。
コナン「この先にお寺を見つけたんだ。きっと誰かいるかもしれないよ?」
雨の中、小五郎たちはその寺へ向かうことにした。
崖の上にひっそりと建てられた「山泥寺」の傍では、音を立てて滝が流れ落ちていた。
蘭「御免くださーい!誰かいませんか?」
コナンたちを出迎えたのは、山泥寺住職の天永和尚だった。
天永「何用じゃ?さては貴様ら、新聞社かテレビ局の回し者じゃな。帰れ帰れ!ここは貴様ら俗物が来るところではないわ!」
小五郎は、車がパンクして身動きがとれなくなったという事情を説明し、一晩泊めて欲しいと頼む。
それを聞いた天永は、険しい表情から一変して笑顔を見せる。
天永「一泊精進料理つき、拝観料込みでお一人様1万円、お子様は8千円です。この寺は宿坊も兼ねておりますので」
小五郎「い、1万円!?」
天永「嫌ならいいんじゃよ。麓まで6時間歩きなされ」
天永は、雨の夜は"ヤツ"が目を光らせているので、泊まっていくことを勧めると話す。
蘭「熊でも出るんですか?」
天永「熊?そんな可愛いもんじゃありゃせんよ。雨と闇を好み人の魂を喰らう古の魔物、霧天狗じゃよ」
天永は、これは禁句だったと口元を押さえ、それ以上は口を閉ざしてしまった。
その後、天永は呼びつけた4人の修行僧を小五郎たちに紹介する。
4人の中で修行年月が一番長く、みんなの兄貴分である寛念。
大飯食らいだが、料理が上手く力持ちの屯念。
手先が器用で寺の大工仕事を全て任せている木念。
今年入った新入りで、柄は小さいが勉強熱心で頭がきれる秀念。
4人の修行僧は、小五郎たちに丁寧な挨拶をする。
天永は、屯念と木念に夕食の支度を、そして寛念と秀念には小五郎たちを案内するように命じた。
蘭「なんか泊まることになっちゃったみたいね」
小五郎「くっそォ。レンタカー延長分と宿泊代で今月分の酒代が・・」
その後、小五郎たちは寛念と秀念に寺の中を案内してもらった。
廊下を歩いていた時、コナンは錠のついた部屋の前で足を止めた。
扉を開くと、蔵のような小さな部屋で、天井はかなり高いところにある。
コナンに続いて小五郎も中へ入り、この部屋は何だと尋ねる。
その問いに対して寛念は表情を曇らせ、口を開く気配はなかった。
秀念「修行の間ですよ。昔は戒律を破った僧侶をここに閉じ込め、反省させていたそうです」
小五郎「道理で頑丈にできている訳だ。それに、登れないように部屋中に漆が塗ってある」
コナン「ねぇ、なんでこの辺の壁だけ板の色違うの?」
秀念「それは、あの事件でそこが壊れた時に木念さんが直した跡だそうですよ」
秀念は、自分が寺に入る前に起こったといわれる事件の話をしようとする。
しかし、今まで黙っていた寛念が声を上げてそれを制した。
その時、蘭はザーという音を耳にし、何の音かと尋ねる。
寛念「滝ですよ。なんなら見に行きますか?この部屋のすぐ横を流れているんですよ」
コナンたちは、寛念に続いて外廊下を歩いていくと、先ほど寛念が言った通り、滝がすぐ横を流れていた。
滝の水は、手すりを越えて外廊下へ流れ込んでいる。
寛念「気をつけてくださいよ。一応すのこを敷いてありますが、滑ると危ないですから」
蘭は、水の中に桜の花びらが浮いていることに気づいた。
それは、山の上にある桜から落ちて流れてきた花びらだった。
その後、夕食の時間となり、寺の一室に全員が集まった。
蘭「へぇ~、お坊さんって堅いイメージがあったけど、割と遊ぶ時間があるんですね」
寛念「えぇ。たまの休みには、みんなで海に行ったりもしますよ。寺からゴムボートやビーチボールなどを引っ張り出してね。和尚様なんてビキニの女の子に目がなくて」
天永「これ!いらんこと言うでない」
和やかな雰囲気の中、コナンは"霧天狗"について質問する。
寛念「ボウヤ!どこでそれを・・」
天永「すまん。ワシが口を滑らせてしまったんじゃ」
天永は、他愛もない昔話だと続けて口を開いた。
その天狗は雨の夜、霧のように村へ忍び寄り、仁王の如き剛力で家の壁を突き破って人を攫い、天翔ける足で高い木の上に登り、死体を吊るしてその肉を喰らっていたという古の魔物。
攫って行ったのは、肉の柔らかい若い女子ばかりだった。
天永の話を聞いた蘭は、自分が"若い女子"に該当することに気づき、恐怖を抱いた。
天永「でもこれは昔話。気にすることはありゃせんよ」
木念「でも満更昔話でもないんですよ。あったんですよ、2年前。同じような奇妙な事件が・・」
コナン「ねぇ、おじさん!その事件のことを詳しく教えてもらったら?だっておじさん、名探偵毛利小五郎でしょ?何かわかるかもしれないよ」
小五郎の名を聞いた修行僧たちは、目を輝かせて小五郎の周りに集まった。
修行僧たちは、小五郎に事件の話をしようとする。
しかし、険しい顔をした天永は、修行僧たちを一喝した。
天永「あの事件のことは二度と口外せんという約束を忘れたか。食事はこれでおしまいじゃ。さっさと部屋に戻って寝支度でもせい!」
修行僧たちは、がっくりと肩を落とす。
天永「探偵さん、あなた方には部屋を貸すが、明朝早々に寺を出てもらう。悪く思わんでくれ」
そう言い残し、天永は去って行った。
その後、小五郎たちは与えられた部屋で寝支度を始めた。
蘭「ねぇ、お父さん。天狗なんていないのよね?」
小五郎「当ったり前ェだ。河童や鬼が実在すると思うかァ?天狗もそれと同じ。人間の作り出した想像上の生き物だよ」
コナン「元々は大昔、雷のような大きな音を立てた流れ星のことを、中国から来た人が天の狗(てんのいぬ)だと言ったのが始まりなんだって。中国では、こうした星が落ちるのは不吉の兆しだって言われていて、それが日本にも伝えられ、天狗は怪しげな現象から怪しい技をなす妖怪として認識されていたみたいだよ」
小五郎「おめェ、ガキのくせにほんと妙なこと色々知ってんだなァ」
コナン「いや、この前テレビでそんな番組やってたんだ・・。だから蘭ねえちゃん、何も怖がることなんかないんだよ」
蘭「おっほっほ!私はなにも怖がってなんかいないわ。さ、もう寝ましょ」
蘭は、離れて敷かれていた3つの布団をくっつけ、真ん中の布団に横になった。
しかし、コナンと小五郎が寝静まった後も、蘭はなかなか寝付けずにいた。
蘭は、トイレへ行くため、コナンと小五郎を起こした。
蘭がトイレに入っている間、コナンと小五郎は外で待っていた。
小五郎「ったく蘭のヤツ、こんな夜中に叩き起こしやがって」
その時、小五郎の背後に天狗が現れた。
小五郎は、驚いた拍子に叫び声を上げてしまった。
その天狗の正体は、お面をつけた蘭だった。
蘭「何よ!自分だって怖がりじゃない」
蘭は、トイレの中に飾ってあったお面を持ってきたという。
そして、小五郎の悲鳴を聞いて心配した寛念が駆けつけた。
寛念「どうかしたんですか?」
小五郎は、何でもないと寛念に伝え、そそくさと部屋へ戻る。
蘭「おやすみなさい、寛念さん。ゆっくり休んでくださいね」
コナン(ちぇっ!おかげですっかり目が覚めちまったぜ)
そして翌朝。
小五郎たちが着替えを済ませた時、秀念が朝食の用意ができたと知らせに来た。
秀念は大きな欠伸をし、目に溜まった涙を手でこする。
小五郎「なんか眠そうですなァ、秀念さん」
秀念「えぇ。昨夜遅くまで読み物をしていましたから」
朝食の席へつくと、小五郎の隣に座っていた木念もどこか眠そうな様子だ。
小五郎「おや?木念さんも夜更かしですか?」
木念「あなたの叫び声のせいですよ!気になってなかなか寝付けませんでした!」
小五郎「すいません・・」
屯念も同じく、小五郎のせいで一睡もできなかったという。
そこへ、遅れて秀念がやってきた。
蘭「あの、和尚さんと寛念さんは?」
屯念「寛念は和尚様の姿が見えないので捜しに行きましたよ」
その直後、寛念の悲鳴が寺中に響き渡った。
コナンと小五郎が修行の間へ駆けつけると、寛念が尻もちをついて天井を指差していた。
なんと、高い天井の梁に天永が吊るされていたのだ・・。
その後、目暮警部ら警察が到着し、事件の捜査が始まった。
天永の死亡推定時刻は、昨夜10時から12時の間だと判断された。
遺体の第一発見者である寛念は、朝から姿が見えない天永を捜していたと証言する。
小五郎「いや~、それにしても凄まじい叫び声でしたな、寛念さん」
寛念「あなたほどじゃありませんよ!」
コナン「寛念さんってすごく勘がいいんだね。だって和尚さん、あんな高い天井に吊り下がってたんでしょ?」
小五郎「確かに妙ですなァ、寛念さん。ひょっとしてあなた、最初から和尚が天井で首を吊ってるのを知ってたでしょう」
寛念「冗談はよして下さいよ。私はただ・・」
木念「見つけられて当然ですよ」
木念は、2年前にもこの修行の間で、全く同じことが起こったと打ち明ける。
当時の事件も担当したという目暮警部は、2年前の事件について話す。
亡くなったのは忠念という修行僧で、その遺体を発見したのが寛念と木念の2人だった。
木念は、その事件の詳細をゆっくり話し始めた。
雨が降り続いた梅雨の頃のことだった。
修行のため、修行の間に籠っていた忠念は、壁に大穴を開けて姿を消してしまった。
その後、三日三晩捜したが見つからず、寺の外へ逃げてしまったのだと諦めかけた。
そして4日目の朝、壁を修理しようと修行の間へやってきた寛念と木念がふと天井を見上げると、忠念が天井で首を吊っていた。
小五郎「壊された壁というのは、今回も壊されたここすか?」
小五郎は、大穴が開いた壁をまじまじと見る。
寛念「ええ。最初は忠念さんがこの部屋から逃げ出すために開けたと思ったんですが、この部屋の扉には鍵がかかっていなかったし。それに、あとで外壁を修復しに来た地元の大工さんが言ってたんです。こんな大穴を1人でこの壁に開けるのは、1日がかりの大仕事だって。こんなことが容易にできるのは、あの怪力を持つ古の魔物、霧天狗ぐらいだと」
目暮「フン、バカバカしい。そんな化け物なんかおりゃせんよ」
天井の梁に登っていた警官は、調べたことを目暮警部に報告する。
天永が首を吊ったロープがかかっている梁の両隣の梁は、埃が溜まっていて何かが触れた形跡は全く見られない。
真ん中の梁は、多少埃が落ちているが、縄が括りつけられているだけで引きずった跡はどこにもついていない。
以上のことから、警官は自殺だと考える。
小五郎「自殺?」
目暮「登るだけなら梁に縄を渡してなんとか登れるが、人をあそこまで運ぶとなれば話は別だ」
亡くなった忠念も天永もそれなりの体格で、彼らを背負って縄をよじ登るのはまず不可能。
首に縄を付けて吊るし上げたとすれば、梁に引きずった跡が残る。
最初に自分が登り、上から引っ張り上げたとも考えられるが、足場が細い梁1本では到底無理だ。
となると、自分1人で縄をよじ登り、梁の上でその縄を使って輪を作り、その輪を自分の首にはめて飛び降りたとしか考えられない。
目暮「余ったロープとそれを切るために使ったと思われる斧も床に落ちてるし、まず間違いなかろう」
しかし、目暮警部は前回も壊れていた壁が気になるという。
コナン「でもさ、なんかおかしくない?この壊れた壁。ここって小窓がついてたとこだよね?壁にこんな大きな穴が開いてるのに、壊れた壁や板の破片はほとんど残ってないよ」
小五郎「フン。どうせ下に落としちまったんだろう」
そこへ、天永の孫娘である菊乃が現れた。
菊乃は、天永の遺体に顔を突っ伏し涙する。
目暮警部は、2年前も菊乃が忠念の遺体に縋って泣いていたことを思い出した。
以前、よく寺へ遊びに来ていたという菊乃は、2年前の事件以来、ぱったり姿を見せなくなったという。
その後、菊乃は坊主頭の男性に支えられながら部屋を後にした。
小五郎は、菊乃とともに去った男性について尋ねる。
木念「菊乃さんの旦那様ですよ。つい先日、結婚されたんです。なんでも、大きなお寺の跡継ぎで、2人は小さい頃からの許嫁だったそうです。それを2年前に和尚様から聞いた時は、本当に驚きました。菊乃さんは忠念さんと一緒になるものとばかり思ってましたけど・・」
菊乃と忠念は、実の兄妹のように仲が良かったという。
屯念「きっと忠念さんは、菊乃さんの結婚の話が相当ショックだったんですよ・・。だからあんなバカなことを」
寛念「もしかしたら、和尚様はそのことをずっと気に病んでいて、」
木念「だから菊乃さんの結婚を機に、忠念さんと同じ死に方を!」
目暮警部は、寛念と木念の話に頷き、手分けして天永の遺書を探すことにした。
コナン(自殺・・。本当にそうなのか?いくら昔話になぞられたといったって、わざわざあんな所で首を吊るヤツがいるか?しかも、あんな大穴を開けてまで)
コナンは、壁に開けられた大穴が何かのトリックに使われた可能性があると考える。
となると、2年前と今回の事件は同じ手口だ。
コナンが大穴を調べていると、秀念がやってきた。
秀念「何やってるんだ?ボウヤ・・」
コナン「確か秀念さん、昨夜遅くまで本を読んでたって言ってたよね?」
秀念「あぁ。3時過ぎまで起きてたと思うよ」
コナン「その間に何か気づいたことない?例えば誰かがこっそり部屋を抜け出した気配とか、何かを壊すような不気味な音とか、誰かの叫び声とか」
秀念「いや、何も聞いていないよ。昨夜は静かな夜だったから」
コナン「本当に何も?」
秀念「あぁ。和尚様の部屋は離れてるけど、みんなの寝部屋は隣同士だから、何かあったらすぐにわかると思うよ」
秀念が去った後、梁に登って調べていた警官が窓から外廊下へ出てきた。
コナン「その窓って、和尚さんが死んでた部屋の上の窓でしょ?ここからでも真ん中の梁の上に人を運ぶことってできないの?」
警官「あぁ、無理だろうな、梁に跡をつけずに運ぶのは。第一、あんな細い梁の上に人を乗せて何かしようって方がおかしいよ」
コナンは、天窓の傍の外廊下に敷かれたすのこの切り口が歪だということに気づいた。
その切り口は古く、随分前に切られたものだということがわかる。
コナンがすのこを持ち上げてみると、裏側に桜の花びらが並んでついていた。
その後、コナンは寺の下にある林へやってきた。
現場からなくなっているものといえば、壊れた壁と板の破片だけだ。
もし犯人が寺からそれを投げたとしたら、下の林に落ちているはず。
しばらくして、コナンは板の破片を発見した。
その破片には、なぜかガムテープがついていた。
蘭「こら!何してんの、こんなとこで。何よその汚い板は!捨てちゃいなさい」
コナン「ダメだよ!」
蘭に摘まみ上げられたコナンは、寺へ戻ることとなった。
その後、日が暮れ始め、警察は引き上げることとなった。
菊乃は、遺体と一緒に警察へ向かった。
目暮「しかし、結局遺書は見つからず仕舞いか・・」
小五郎「ま、いいじゃないすか。自殺というのは決まってるし」
コナン(違う。これは殺人だ!昨夜何かがあったんだ)
強大な力で破壊された壁、切り口の歪なすのこ、林の中に捨てられた小窓の破片とそれについていたガムテープ。
コナン(これらを繋ぐ鍵は一体・・)
その時、修行の間の中央に立っていたコナンの頭に桜の花びらが舞い落ちてきた。
コナン(桜・・?そうか、わかったぞ!犯人が使ったトリックが)
名探偵コナン第52話|謎解き
【謎解き①】
天窓の傍に敷かれたすのこの切り口は歪だった。
【謎解き②】
すのこの裏側には、桜の花びらが並んでついていた。
名探偵コナン第52話|ネタバレ
不可能犯罪、それは殺人者が犯行現場に作り上げた悪しき芸術。
今回その芸術が展示されたのは、桜舞い散る山寺の一室。
高き天井に縄を括りつけ、天永が首を吊られて殺されたのだ。
無論、吊り上げられた痕跡などどこにもなく、人間業では到底不可能と思える犯行だった。
犯人は、ある力を利用して宙に舞い上がったのだ。
まるで、天翔ける技を具える霧天狗の如く。
天永が殺害された部屋の床には、余ったロープと斧が落ちていた。
何より不思議なのは、小窓のついていた壁に大きな穴が開いているのに、壊れた壁や破片はどこにもなかったことだ。
そして、切り口が歪なすのこ、林の中に捨てられていた小窓の破片とそれについていたガムテープ。
これらを繋ぐ鍵は、桜だった。
小五郎は、パトカーに乗せて家まで送って欲しいと目暮警部に頼む。
目暮「ついでに林の中でパンクしたというレンタカーのキーも寄越せ!」
小五郎「え?」
目暮「あとで若いもんをやって引き上げてやる。お前の推理にはいつも世話になっとるからな」
小五郎は、目暮警部に車の鍵を渡そうとする。
その時、コナンは小五郎の手から素早く鍵を奪い取り、走って逃げる。
怒りながらコナンを追いかける小五郎は、足を滑らせて外廊下の手すりに頭をぶつけてしまった。
そして、小五郎は頭に大きなたんこぶを作り、気絶してしまった。
コナン(あらぁ・・、自分で滑って気絶しちまいやんな。ま、いっか!麻酔銃を使う手間が省けたから)
コナンは、阿笠博士の発明した小型スピーカーを小五郎の額に貼りつける。
そして、近くにいた警官にみんなを修行の間に集めるように頼んだ。
修行の間にみんなが集まった後、コナンは天窓から小五郎の頭だけを部屋の中へ入れる。
目暮「なに?犯人がわかっただと?」
小五郎「えぇ。和尚を自殺に見せかけて殺した犯人がね」
目暮「おいおい、和尚はこの部屋の高い天井の梁に縄を括りつけて首を吊って死んでいたんだぞ。あれを誰かが仕組んだものだというなら、一体どうやってやったというんだね?」
犯人は、天井の梁の真下に和尚とともに浮かび上がり、梁に和尚を結わえ付けたのだ。
目暮「浮かび上がったァ?霧天狗じゃあるまいし、人間にそんなことができる訳が・・」
現在、小五郎が覗いている天窓の横には滝が流れている。
その滝の水を天窓から引き入れ、部屋を水でいっぱいにすれば天井まで浮かび上がることは可能だ。
目暮「この部屋を水でいっぱいに?ははは、バカも休み休み言いたまえ。そんなことをしたら犯人も被害者もずぶ濡れ。死体には濡れた跡なんぞ残っていなかったぞ」
實念は、寺にゴムボートがあると言っていた。
そのゴムボートに遺体を乗せて上にビニールでも被せておけば、濡れずに天井まで辿り着くことは可能だ。
目暮「だが、その天井と滝とは離れておる。いくらなんでも、そう都合よく水を部屋の中に引き入れることなんて」
コナンは、犯人が実際に使った仕掛けを使って部屋の中に水を引き入れる。
すると、部屋の中央に立っていた目暮警部に大量の水が降りかかった。
目暮「うわっ!」
犯人は、すのこを使ったのだ。
すのこの隙間をガムテープで埋めて裏返し、滝から天窓に水を渡したのだ。
【謎解き①】
その証拠に、すのこの切り口が歪になっている。
これは、長さを合わせるために切られた跡。
【謎解き②】
それに、ガムテープが貼ってあったと思われる部分には、桜の花びらが並んで張り付いていた。
それは、この滝によって山の上から運ばれる山桜の花びらだ。
桜が張り付いているのは、すのこだけではない。
犯人が部屋の水を抜いた時に、桜の花びらが壁に張りついてしまったのだ。
つまり犯人は、天永を絞殺した後で修行の間へ運び、遺体をゴムボートに乗せて、入り口の扉を内側からガムテープで目貼りし、小窓から一旦部屋の外へ出た。
そして、2階の天窓から先ほどの方法で水を入れ始め、急いで1階に戻り、小窓から中へ入って小窓も目貼りする。
あとは遺体に水が掛からないように注意を払いながら水が溜まるのを部屋の中で待つだけ。
水が溜まり、梁の真下の到達した犯人は、遺体を梁に括りつけ、天窓から外へ脱出した。
目暮「だが、どうやって水を抜いたんだね?」
現場に残っていた斧を使って、小窓を外から破ったのだ。
修行の間は、床が四畳半くらいで高さが10メートルくらい。
となると、部屋の容積は、
2.7m×2.7m×10m=72.9㎥となる。
水の比重は1なので、部屋に溜まった水の重量は72.9t。
多量の水が入った部屋の底の小窓に斧の刃を入れると、亀裂が入って脆くなった小窓は圧力で吹っ飛び、噴き出す水の勢いで壁はみるみる砕け散り、その結果大穴が開く。
目暮「そうか。それでこんな大穴が開いているのに、破れた壁や板の破片が残っていなかったのか」
コナンは、寺の下の林で拾った破片を目暮警部に渡す。
目暮「なるほど。ガムテープつきの小窓の破片か。でも、一体誰がそんなことを」
水が部屋から抜けるのは10秒もかからない。
しかし、溜めるとなれば7時間はかかる。
天永の死亡推定時刻は、昨夜10時から12時の間。
そして、遺体が発見されたのが朝の8時頃。
トリックの準備をする時間と、水を抜いたあと部屋を拭いたりする後始末の時間を差し引いて考えても、犯人は昨夜の12時から6時の間、確実に修行の間の中にいたことになる。
目暮「それが一体犯人とどういう関係が・・」
小五郎「秀念さん。あなた確か、昨夜3時頃まで自分の寝部屋で本を読んでいたと言ってましたよね?だったらあなたも聞いていたはずだ。昨夜の2時頃、トイレの天狗の面に驚いて、ある人物が悲鳴を上げたのを。それは一体誰だったのか。さぁ、答えて下さい」
秀念「も、もちろん聞いたよ。蘭さんが上げた大きな悲鳴をね!」
實念・木念・屯念「え・・?」
秀念「驚いちゃったよ。蘭さんが怖がりだから仕方がないけど」
屯念「秀念、お前・・」
小五郎「秀念さん。あの時、悲鳴を上げたのは蘭じゃない。私だったんですよ」
囂々たる水音がする修行の間に一晩中いたため、秀念に聞こえなかったのも無理はない。
目暮「だがそんな証言、証拠にはならんぞ」
小五郎「明確な証拠なら、警部が今持っているじゃないですか」
目暮警部は、先ほどコナンから渡された破片を確認する。
それは、犯人が回収損ねた唯一の忘れ物。
水を抜いた後、部屋に残った犯行の痕跡は隠滅できるが、吹っ飛んでしまった小窓の破片は、そう簡単に回収できない。
小五郎「私の探偵生命を賭けてもいい。絶対にその破片についたガムテープに残っているはずだ。秀念さん、あなたの指紋がね」
實念「でも、秀念は1年前にこの寺に来たんですよ?」
木念「2年前の事件が同じトリックなら同一犯」
屯念「秀念には無理だよ!」
2年前の事件は、今回と全く同じトリックで天永が犯した犯行だった。
すのこの切り口は古く、前の事件の解明を一番恐れていたのは天永だった。
小五郎「私の勘が正しければ、恐らく2年前に殺された忠念さんと秀念さんは兄弟だ」
秀念「あぁ、そうさ。忠念僧侶は正真正銘、血を分けた僕の兄」
秀念は素性を隠すため、遠縁の寺を通して山泥寺に修行僧としてやってきた。
山泥寺へ来た目的は、忠念が死んだ不可解な事件の解明と真犯人を見つけること。
半年間、寺中を調べ回り、トリックの見当がついた。
しかし、犯人はわからなかった。
秀念「でも、昨日探偵さんが来てわかったよ。和尚のあの妙な態度を見て、はっきりとね」
夕食の後、天永の部屋を訪れた秀念は、寝酒を飲んで酔った天永を問い詰めた。
すると、忠念を殺害したことをペラペラと話し出した。
忠念を殺害した理由は、大きな寺の跡取りと縁談が決まっていた孫娘の菊乃を忠念にとられたくなかったから。
秀念「兄は、菊乃さんと駆け落ちの約束までしていたらしいけど、そんなことはどうでもいいよ。とにかく、自首してくれと頼んだら、和尚は・・」
天永「どうせ2年前のこと。もう証拠は何も残っとりゃせんよ。それにあの事件のおかげでこの寺にも箔がついたから良しとせェ。霧天狗が出没する寺じゃとのぅ」
秀念「その言葉に僕は我を忘れ、部屋にあった帯で和尚の首を絞めて殺してしまったんだ。そう、2年前に和尚が兄の首を絞めた時のように、首吊り自殺と同じ痕が残るように背負ってね。死体を前にした僕にはもう、道は残されていなかった。2年前、和尚が使ったトリックで犯行を隠す道しか・・」
秀念は、天永を殺害した罪を認めた。
秀念「残念だよ、探偵さん・・。もしもあなたが、2年前にこの寺を訪れてくれていたら・・、恐らく僕は・・、僕は・・」
名探偵コナン第52話|エピローグ
寺からの帰り道。
小五郎たちは、目暮警部の乗るパトカーに同乗させてもらっていた。
目暮「いやぁ、しかし君には毎度毎度驚かされるよ、毛利くん。君があんなに物理に長けていたとは知らなんだぞ」
小五郎「いてててて・・」
小五郎は、手すりにぶつけた頭を撫でている。
蘭「ほら、お父さん言ってたじゃない。パスカルがどうのこうのって・・」
小五郎「パ、スカル?」
コナン「あ~っ、それは!」
小五郎(パイカルは中国酒、オスカルは宝塚、ラスカルはアライグマ。なんだァ?パスカルって・・)
小五郎「あぁ!あのテレビ雑誌のことかー!」
目暮「はぁ?」
コナン(バーカ。そりゃテレパルだよ!それに"ル"しか合ってねェじゃねェか・・)
アニメ名探偵コナンを動画で見る方法
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